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JFEグループCSR報告書2017|JFEホールディングス株式会社

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編集方針

CONTENTS

「JFEグループCSR報告書」は、JFEグループのCSR活動をステークホルダー の皆様にご報告し、ご意見をいただくことで活動と開示の充実を図るコミュ ニケーションツールとして発行しています。2014年は主に以下の試みを行 いました。

・グループとしてのCSRマネジメントに沿って、構成を事業会社別からテー マ別に変更

・定量情報の一部について、集計範囲を主要子会社まで拡大

◦報告対象範囲 対象期間

2013年度(2013年4月1日~ 2014年3月31日) 一部対象期間外の活動報告も含む

対象組織

持株会社:JFE(ジェイエフイー)ホールディングス(株)および傘下の3つの事 業会社:JFEスチール(株)、JFEエンジニアリング(株)、JFE商事(株)を報告 の主体とし、一部JFEグループ365社(連結子会社303社、持分法適用会社62 社)の活動を含む

定量情報の一部は、以下のグループ会社を含む(対象会社名は「環境データ集」 に記載)

・JFEスチールグループ:

   [環境] 国内主要子会社35社(主要な生産子会社を含む) [社会] 国内主要子会社38社

・JFEエンジニアリンググループ:

国内主要子会社11社(主要な生産子会社を含む) ・JFE商事グループ:

[環境] 国内外の主要子会社30社(鋼材加工会社) [社会] 国内外の主要子会社78社

◦関連する報告

以下の情報をホームページに掲載しています。 http://www.jfe-holdings.co.jp/

CSR(社会・環境)

CSR報告書(ハイライト・CSR報告書・環境データ集)PDF JFEグループのCSRへの取り組みに関する最新情報など 会社概要

JFEグループの事業概要、コーポレート・ガバナンスなど 株主・投資家の皆様へ

JFEグループの経営情報、財務情報、株式・格付情報など JFEグループ TODAY(PDF)

JFEグループの事業活動内容など ◦発行時期

2014年9月(前回発行:2013年9月、次回発行予定:2015年9月) ◦参照したガイドライン

GRI「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版(G4)」 環境省「環境報告ガイドライン2012年版」

環境省「環境会計ガイドライン2005年版」

活動主体を分かりやすくする ため、各活動項目に右のアイ コンを表示しています。

各項目の活動主体の区分 JFEスチール(株)

JFEエンジニアリング(株)

JFE商事(株)

02

JFEグループのCSR

03

TOP MESSAGE

05

JFEグループの事業と社会

07

FEATURE 1 

世界最高の技術で環境負荷を低減

13

FEATURE 2 

多様な人材で組織力を強化

₁ マネジメント

17

コーポレート・ガバナンス

21

コンプライアンス

24

₂ 地球環境保全のために

25

環境マネジメント

29

環境重点目標と実績

31

マテリアルフロー

33

地球温暖化の防止

38

環境の保全

40

資源循環

42

環境配慮製品・技術

45

環境コミュニケーション

46

₃ 社会の発展に貢献するために

47

お客様・お取引先様とともに

50

株主・投資家の皆様とともに

51

地域社会の皆様とともに

54

従業員とともに

59

社外からの評価・社内表彰

60

GRIガイドライン対照表

63

環境省「環境報告ガイドライン2012」対照表

64

第三者意見

◦CSR報告書の構成とメディア

詳細版の補遺版として、よ り詳細な環境データをまと めています(PDF) 当社グループのCSR活動に ついて、網羅的にご報告し

ています(PDF)本誌

CSRの主な取り組みを、分 かりやすくお伝えしていま す(冊子・PDF)

環境データ集(Web) CSR報告書(Web)

ハイライト (冊子、Web)

E

T S

JFE グループ CSR 報告書 2014

(3)

JFEグループ企業行動指針

JFEグループの役員および社員は、「企業理念」の実現に向けたあらゆる企業活動の実践において、「行動規範」の精神 に則るとともに以下の「行動指針」を遵守する。経営トップは自ら率先垂範の上、社内への周知徹底と実効ある体制整 備を行い、企業倫理の徹底を図るとともに、取引先にもこれを促す。

本行動指針に反する事態には、経営トップ自らが解決にあたり再発防止に努める。また、社内外への迅速かつ的確な情 報公開を行い、権限と責任を明確にした上で厳正な処分を行う。

1. 良質な商品・サービスの提供

優れた技術に基づいた安全で高品質の商品とサービスの提供 に努めるとともに、個人情報・顧客情報の保護に十分配慮し、 お客様から高い評価と信頼を得る。

2. 社会に開かれた企業

株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを図り、 企業情報について、社会への積極的な情報公開に努める。

3. 社会との連携と協調

良き企業市民として、社会との連携と協調を図り、積極的な 社会貢献に努める。

4. グローバル化

グローバルな視点をもち、各種の国際規範はもとよりそれぞ れの文化や習慣を尊重し、世界の様々な人々との相互理解に 努める。

5. 地球環境との共存

地球環境との共存を図るとともに、快適な暮らしやすい社会 の構築に向けて主体的に行動する。

6. 政治や行政との関係

政治や行政との健全かつ正常な関係の維持・構築に努める。

7. 反社会的勢力への対応

市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および 団体とは、一切の関係を遮断し、違法・不当な要求には応じ ない。

8. 人権の尊重

社会の人々、従業員を個として尊重し、企業活動において一 切の差別を行わない。

9. 働きがいのある職場環境

従業員にとって魅力に富み、安全で働きがいのある職場を提 供する。

10. 法令の遵守

法令を遵守し、公正で自由な競争に心がけ、適法な事業活動 を行うとともに、健全な商慣習に則り、誠実に行動する。 JFEグループは「常に世界最高の技術をもって社会

に貢献します。」という企業理念を実践していくため に、行動規範・企業行動指針を定めています。それら に基づき、コンプライアンスの徹底、環境保全活動の 強化に努めているほか、安全、防災、品質、人権など を重点テーマとしてさまざまな取り組みを推進してい ます。

事業運営に際しては、公正・公平・透明なコーポ レート・ガバナンス体制のもと、お客様・お取引先 様、株主・投資家の皆様、地域社会の皆様、従業員な ど、すべてのステークホルダーの利益にかなう諸施策 の実行に努めています。

これからも、行動規範である「挑戦。柔軟。誠実。」 の精神に則りながら、CSRを果たすべく真摯に取り組 んでいくことで、社会に信頼されるJFEグループであ り続けたいと考えています。

JFEグループのCSR

JFEグループは、

常に世界最高の技術をもって

社会に貢献します。

挑戦。

柔軟。

誠実。

企業理念

行動規範

(4)

JFEグループは、「常に世界最高の技術をもって社 会に貢献」することを企業理念に掲げています。この 企業理念に基づき、お客様から高い評価と信頼を得る 良質な商品・サービスを提供するとともに、地球環境 の向上を経営の重要課題と位置付け、すべての事業活 動における環境負荷低減とリサイクルの推進などに取 り組んでいます。また、社会インフラの再構築や逼迫 する電力需要への対応など、社会の課題解決に資する 製品を開発・提供していきます。JFEグループは、こ れらの取り組みを通して企業価値を高め、持続可能な 社会の実現に貢献していきたいと考えています。

この活動をグループで展開していくためには、同じ 価値観を共有し行動していくことが不可欠です。持株 会社であるJFEホールディングスは、そのガバナンス 機能を通じて、事業会社およびグループ会社の事業特 性を活かした活動と価値観の共有を推進することによ り、グループの総合力向上を図り社会とともに持続的 な成長を目指します。

JFEグループは鉄鋼事業・エンジニアリング事業・ 商社事業などさまざまな分野で事業を展開していま す。これまで培ってきた世界最高水準の技術を活用す ることで、社会の課題解決に貢献しています。

鉄鋼事業では、長年にわたって製鉄プロセスにおけ る省エネルギーとCO₂排出量の削減に取り組んでき ました。2013年度のエネルギー原単位は1973年度 比36%低減を達成しています。この数字は、これま で磨き続けてきたさまざまな革新的な技術の集積であ り、世界最高の水準です。そしてこの製造プロセスか ら生まれる数々の製品も、品質の面でも機能において も世界に誇れるものと自負しています。

この技術を海外に展開・移転することで、地球規模 でのCO₂排出削減に取り組むこと、また高機能鋼材 の供給を通じて、最終製品の使用段階での省エネル ギーを促進することが、「世界有数のグローバル鉄鋼 サプライヤー」としてのミッションであり、成長機会 です。

社会とともに持続的な成長を目指す

社会の課題にソリューションを提供する

JFEホールディングス株式会社 代表取締役社長(CEO)

馬田 一

JFE グループ CSR 報告書 2014

(5)

エンジニアリング事業では、生活や産業を支えるエ ネルギーの供給、環境や交通都市インフラなど、社会 基盤整備のさまざまな分野において、国内外の社会的 要請に対し、最先端の独自技術で応えています。

商社事業では、世界18カ国に広がるネットワーク による低環境負荷・省エネルギー商品の普及や、物流 の最適化を通じて、持続可能な社会の実現を目指して います。

JFEグループは、事業環境の変化に柔軟に対応し、 新たな価値の提供と持続的な発展につながる創造を生 み出すため、女性の積極的な活用はもちろん、さまざ まな文化圏からの採用を行うことで、人材の多様性の 確保に努めています。

JFEホールディングスは、経済産業省および東京証 券取引所より、2013年度の「なでしこ銘柄」※に選定

されました。女性が持つ能力を引き出し、これまで以 上に活躍できる事業環境づくりに引き続き取り組みま

す。また、グローバルマーケットで力を発揮する人材 を幅広く採用するとともに、海外の異なる文化やさま ざまな価値観のなかでも活躍できる人材を育成しま す。一方で、多くのベテラン層が定年退職を迎え、各 現場での世代交代が急速に進んでいます。これまで個 人に蓄積された知識や技術・技能を若い世代へ着実か つ効率的に継承していけるように、教育体制を強化し て、技能伝承を促進していきます。

JFEグループは、これまでお客様・市場のニーズに 応えるためにグループの総合力、シナジーを高めてき ました。10年20年先の社会や産業構造の変化を見据 え、競争力・価値創造力をさらに向上させるべく、引 き続きグループが一体となってJFEグループならでは の「技術の力」で社会に貢献してまいります。持続可 能な社会の発展を目指し、『挑戦。柔軟。誠実。』を行 動規範として全力で取り組み、社会に信頼されるJFE グループとしてあり続けたいと思います。

社会とともに持続可能な成長を目指します

技術の力

で社会に貢献し、

TOP MESSAGE

(6)

【 商社事業 】

●JFE商事株式会社 

●東京本社(東京都千代田区)/大阪本社(大阪市北区) ●売上高(連結):17,813億円 

●従業員数(連結):6,207名

【 鉄鋼事業 】

●JFEスチール株式会社  ●本社(東京都千代田区) ●売上高(連結):26,916億円  ●従業員数(連結):42,481名

オンリーワン・ナンバーワン商品をグローバルに展開

世界トップクラスの銑鋼一貫メーカーです。東西2大製鉄所体制に よる高い国際競争力を持ち、世界有数の技術と商品開発力を活か したオンリーワン・ナンバーワン商品および各種高付加価値商品 を製造・販売しています。

◦高機能鋼材または省エネ貢献製品・技術開発

◦省エネ技術を世界中で普及 ◦鉄リサイクル

持続可能な社会構築への貢献

社会。地球。

持続可能性を支える3つの事業

JFEグループは鉄鋼、エンジニアリング、商社の3つの事業を中心とした企業グループです。 長い時間をかけて鍛え上げてきた技術は、鉄を中核として、

エネルギー技術や資源リサイクル技術など広い範囲にわたり、

地球上のいたるところで、いろいろな形で力を発揮しています。素材として、あらゆる可能性を秘める鉄。 常に世界最高の技術をもって、持続可能な社会の構築のために貢献しています。

グループ中核商社として、新たな価値を創造

鉄鋼製品の取り扱いを中心に、鉄鋼原料・非鉄金属・化学品・燃 料・資機材・船舶の国内取引および輸出入取引を行い、食品・エ レクトロニクス事業も展開しています。

◦環境負荷・エネルギー低減商品の普及 ◦省エネ輸送 ◦鉄スクラップリサイクル ◦再生可能エネルギー

持続可能な社会構築への貢献

鉄づくり

流通

原料採掘

JFE グループ CSR 報告書 2014

05

(7)

【 エンジニアリング事業 】

●JFEエンジニアリング株式会社

●本社(東京都千代田区)/横浜本社(横浜市) ●売上高(連結):2,841億円 

●従業員数(連結):7,366名

環境、エネルギー分野で最新技術を提供

コアとしている都市環境・エネルギー分野では、多様な資源をク リーンエネルギーとして有効利用するための技術を提供していま す。また、橋梁などの鋼構造や産業機械の分野で社会基盤整備に貢 献しています。

◦都市環境プラント ◦再生可能エネルギー ◦インフラ整備 ◦廃棄物リサイクル

持続可能な社会構築への貢献

名称(商号) JFEホールディングス株式会社

本社所在地 〒100-0011 東京都千代田区内幸町二丁目2番3号 電話 03-3597-4321(代表)

設立年月日 2002年9月27日 資本金 1,471億円 株主数 286,701名

URL http://www.jfe-holdings.co.jp/

3

6,668

億円

戦略機能を発揮して企業価値を最大化

JFEホールディングスは、持株会社として、グループ全体 の経営戦略策定や資金調達を行うとともに、上場会社とし て、対外的な情報発信を担ってきました。また、事業会社 は、事業分野ごとの特性に応じた最適な業務執行体制によ り、競争力の強化と収益力の拡大を通じて企業としての持 続的な成長を図り、企業価値の向上に努めています。

■ JFEスチール

73.4%(2兆6,916億円) ■ JFEエンジニアリング 7.7%(2,841億円) ■ JFE商事

48.6%(1兆7,813億円)

グループ内取引調整額 △29.7%(1兆902億円)

調整額(1兆902億円)には、セグメント間の内部売上高または振替高として、 鉄鋼事業:8,949億円、エンジニアリング事業:81億円、商社事業:2,678億 円が含まれています。

グループ 総売上高 構成比

鉄スクラップ リサイクル

廃棄物 リサイクル

(8)

FEATURE 1

世界最高の技術で環境負荷を低減

鉄の生産には多くのエネルギーを使用しますが、革新的な技術開発と長年培った効率的な運用により、 日本の鉄鋼業は世界最高のエネルギー効率を誇っています。

JFEグループの主要な技術と持続性に寄与する製品群をご紹介します。

鉄鋼材料の原料とな る鉄鉱石や石炭は、 オーストラリア、南 米、北米など世界各 地から専用の船で運 ばれます。

原料輸入

直径2 ∼ 3mmの粉 状の鉄鉱石を焼き 固 め て、高 炉 の 原 料となる直径15∼ 30mmの 焼 結 鉱 を 製造します。

焼結工場(しょうけつこうじょう)

コークス 石炭

鉄鉱石 石灰石 粉 コークス

焼結鉱

焼結工場

石炭 鉄鉱石 石灰石

排ガス回収利用

排ガス回収利用 廃熱回収利用

廃熱回収利用

焼結工場 コークス工場

コークス工場

粉砕した石炭を蒸し焼きにして熱 量の高いコークスを製造します。 コークスは、高炉で鉄鉱石を還元し て銑鉄を製造するために使います。

コークス工場

赤熱コークスの熱回収と水資源節約

CDQ

コークス乾式消火設備

Coke Dry Quenchingの略。コークス炉から出た赤熱コークスをチャ ンバーに装入して窒素ガスで冷却し、高温になった窒素ガスでボイラー を加熱して高温高圧の水蒸気を発生させ、蒸気タービンを回して発電 します。CO₂排出削減だけでなく、水資源の節約にもつながります。

排ガスの熱エネルギーで発電

廃熱回収ボイラ発電設備

ごみ焼却、製鉄、セメント生産プロセスよ り発生する排ガスから効率よく熱エネル ギーを回収します。未利用エネルギーを有 効活用でき、新たに燃料を用いずに発電で きることから、温室効果ガスの発生のない 「環境調和型発電」といえます。

実用化は世界初。都市ガスを使ったCO₂排出削減

 

Super-SINTERⓇ

焼結鉱の製造プロセスで使用する粉コークスの一部を天然ガスなどの水素系ガスで代替することで、 エネルギー効率が大幅に改善し、焼結鉱の品質が改善します。2009年に京浜地区の焼結工場で商業運 転を開始して以来、これまでJFEスチールの全焼結工場への展開が完了し、CO₂排出削減に大きな成 果を上げています。2014年度全国発明表彰経済産業大臣発明賞、2010年日経地球環境技術賞(大賞)、 2011年度岩谷直治記念賞などを受賞しました。

有害物質を回収し、大気への排出を防止

排ガス活性炭吸着装置

「JFEガスクリーンDX」は、JFEが独自開発した排ガ ス浄化装置です。専用に開発された高性能活性炭と独 自構造の活性炭カートリッジにより、鉄鋼の生産、ご み焼却炉などから発生するダイオキシン類や揮発性 有機化合物、水銀を極低濃度まで吸着除去します。

第一次オイルショック

(1973年)

以降の40年間で、

36

の省エネ化を実現!

製鉄プロセス全体でのさまざまな施策により

JFE グループ CSR 報告書 2014

(9)

鉄の生産には多くのエネルギーを使用しますが、革新的な技術開発と長年培った効率的な運用により、 日本の鉄鋼業は世界最高のエネルギー効率を誇っています。

JFEグループの主要な技術と持続性に寄与する製品群をご紹介します。

転炉(てんろ)

溶けた銑鉄に酸素を吹き込 んで銑鉄に溶解している炭 素を取り除いて強く粘りのあ る鋼をつくります。また目的 の品種に合わせて合金元素 を加えて成分を調整します。

電気炉(でんきろ)

鉄鉱石から銑鉄を製錬す る高炉法と異なり、鉄スク ラップをアーク放電の熱に よって融解し、鉄を得る製 鉄法です。

高 炉 の 上 部 か ら 焼 結 鉱、 コークスなどの原料を装入 し、下部から熱風を吹き込 んで鉄鉱石を還元して、溶 けた銑鉄をつくります。

高炉(こうろ)

溶鋼

溶けた鋼から連続的に鋼の 塊であるスラブをつくりま す。工程を連続化すること で、大幅な省エネルギーを 達成した製造方法です。

スラグ資源化

鉄鋼スラグは、鉄鋼をつくる際に副産物とし て生じる石や砂状の材料で、生成するプロセ スにより高炉スラグと製鋼スラグがありま す。省エネルギーや省資源、CO₂削減を可能に する環境資材として、さまざま

な用途で使用されています。

連続鋳造設備(れんぞくちゅうぞうせつび)

高炉

転炉

電力の利用効率を大幅にアップ、ダイオキシンも分解

ECOARC™

電気炉からの排ガスの熱を利用してスクラップを予熱することにより、 従来の電気炉に比べて電力原単位を大幅に削減できます。反応中に発生 するダイオキシンが二次燃焼で分解して消滅するため、環境に優しい電 気炉プロセスです。

※ECOARC™:スチールプランテック(株)の商標 銑鉄

スラグ スラグ

リサイクル原料

排ガス回収利用 廃熱回収利用 排ガス回収利用

廃熱回収利用

水素還元利用でCO₂排出を削減

都市ガス高炉吹込み

熱風、微粉炭とともに高炉の羽口から都市ガス(主成分:メタンガス) を同時に吹き込む技術です。水素ガス還元が増加して炭素系還元材の 使用量が低減するとともに、炉内の通気性が改善することなどにより CO₂排出量を大幅に削減します。また、生産性も大きく向上します。

プラスチックリサイクルでCO₂を削減

使用済みプラスチック高炉原料化

使用済みプラスチックをコー クスの代替として鉄鉱石の還 元に利用することで天然資源 消費を減らし、CO₂排出を削 減しています。

副生ガスをエネルギーとして100%有効利用

場内発生ガス利用

製鉄所内で発生する副生 ガ ス を 製 鉄 所 内 で 発 電 に利用するほか、鋼材の 加熱用の燃料ガスとして 100%有効に活用してい ます。

排ガスが持つエネルギーで発電

TRT

炉頂圧発電設備

Blast Furnace Top Pressure Recovery Turbine Generation の略。高炉内は生産性を高めるために高圧になっており、高炉炉頂か ら回収した高炉ガスの圧力を利用してタービンを回して発電します。

高温排ガスを有効利用

転炉ガス顕熱回収

(10)

FEATURE 1

スラブ

熱間圧延機

厚板圧延機 ブルーム

ビレット

(あつえん) 出荷

製鉄所でつくられた 鉄鋼製品は、船、鉄道、

トラックなどを使ってユーザーに届け ます。CO₂排出量を少なくするモーダル シフト(船、鉄道輸送)を進めています。 熱炉

連続鋳造機から 出たスラブなど を加工しやすく するために圧延 加工工程の前に 加熱します。

スラブに強い圧下力を加え て、板状や長い棒状に加工し ます。高温で加工する熱間圧 延、低温で加工する冷間圧延 など、製品の形状に合わせた 圧延方法があります。

鋼 鋼材

線材圧延機 継目無鋼管 製造設備 加 炉

高効率バー で エネ、 CO₂削減

リジェネバーナ

リジェネバーナシステムは、蓄熱体と一 体化した一対2台のバーナを数十淴間隔 で交互に燃焼させます。一方のバーナが 燃焼している間に排気ガスが他方のバー ナの蓄熱体を通過して加熱することで、 高い効率で燃焼させることができます。 加熱炉、溶解炉などに採用され、省エネ ルギー、CO₂削減を実現しています。

緍 で熱を無駄に エネ実

エンドレス圧

千葉No.3全連続熱間圧延機は、シートバー(スラブを粗 圧延機で圧延した半製品)と呼ばれる30~40mmの鉄 の板を次々と接合して圧延することができます。このプ ロセスによって、安定した仕上げ圧延が可能となるとと もに、省エネルギーが実現できます。

緍 で熱効率を

連続焼倆設備

冷間圧延機から出てきた硬い薄板は、プレス成形でき るように焼倆工程で熱を加えて軟らかくします。JFEス チールの連続焼倆設備は、冷却・加熱処理を連続的に行 うことにより、さまざまな製品の製造を可能にするとと もに、省エネルギーを実現します。

グループ で 俘

物流効率化

各流通グループ会社では、自社の鋼材倉庫に建材 製品を個別に配送していましたが、倉庫の調達情 報を各社で共有化し、重なったルートを共同配送 することで輸送の効率化を図っています。共同配 送する品種・ルートの拡大も計画しており、より 一層のエネルギー使用量削減を図っていきます。 出荷

鋼 用では 倉初、燃 によ CO₂削減

電気推進

ーえこ

発電機でモーターを 動しプロペラを 回転させる日本初の鋼材運涕用電気推 進船の導入により、従来のディー ル船 より5%の燃費向上とCO₂削減を実現 しています。

偂力アップで紑 を効率化し、CO₂を削減

世 物流

フレーム構造の変更、アルミホイールの装着、タイ ヤのダブルからシングルへの変更などによりコイ ル専用車 の軽量化を実現。軽量化した重量分の積 載能力が増加することで、効率の良い輸送が可能と なりCO₂排出量の削減につなげています。

に して も エネルギーを実

への 気

システム侴

前方の船底に設置した送風機(ブロア)から空気を吹 き出し、気 流を船底に万 なく流すことで、船底 の 力を低減して、省エネ化を図るシステム。新 造船ではなく、既に就 している内 船に侴載して、 約7%のCO₂削減効果を実現しています。

熱効率向上 熱効率向上

JFE グループ CSR 報告書 2014

(11)

環境配慮とともに、資源・エネルギーの安定

を支える

高機能鋼材の を通じて、最 製品の使用 での エネ・環境負荷 を 進します。

元素を 環境に純し

動 用高

JA Ⓡ

自動車の車体用鋼板には高いプレス成形性が求められ ます。従来はGA鋼板(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)の 表面に潤滑皮膜を付着させていましたが、溶接性や接

着性が落ちる課題がありました。JAZ®はGA鋼板のナ

ノレベルの極表層構造を最適化して鋼板のプレス成形 性を改善するとともに、潤滑皮膜に使用される重金属 元素を含まない環境に優しい製品です。

元素削減で 資源化 佣化

Ⓡ 1 CR、

Ⓡ 1 CR

油井、天然ガス井の高深化に伴う過 な環境下での耐食性と高強度を 有する鋼管です。従来材に比較して合金元素削減による省資源化や省 工程化を達成しています。これまで6千トン以上のUHPⓇ 15CRが北 米、アジアなどの天然ガス井で、また新たにブラジル 合の油田開発 プロジェクト向けにUHPⓇ 17CRが採用されました。

な環境でも使用 偂

電 ライン イプ

マイティーシームⓇ

マイティーシーム®は、従来品に比べて溶接部 の性能を飛躍的に向上させ、なおかつ溶接部の 品質安定性を保証した電縫鋼管です。従来の電 縫鋼管では難しかった海底や極低温などの

な環境のパイプラインでも使用可能です。こ れまで北米、東南アジア向けの出荷を経て、北 海、ノルウェイ海での敷設が行われました。

継化で環境 を低減

高機能 鋼

鋼 Ⓡ

船舶や橋梁に作用する力は部位によって異なります。LP鋼板®は板厚を 板の長手方向に変化させた厚鋼板で、作用する力に応じて鋼板の厚みを 変化させることで、船舶や橋梁を軽量化し、環境負荷や製造コストの低 減に貢献します。高品質、高効率での製造技術と幅広い普及が評価され、 「第44回(2012年)市村産業賞貢献賞」を受賞しました。

高 で資源効率 を実

重 物鉄俢レール

S 3

鉄鉱石や石炭などの重量物を積載した 物鉄道は非常 に大きな荷重がかかるためにレールには高い耐 性 が要求されます。SP3は最適な化学組成とオンライン熱 処理技術により、高硬度ともろさ抑制・溶接性維持を両 立した重 物輸送用の高耐磨 性レールです。南米や 州内絳の鉄鉱石や石炭の産地で活躍しています。

環境負荷低減技術・製品

絊 発電の に

電 鋼

スー ーコアⓇ

スーパーコア®は理論上最高の磁気特性を

(12)

FEATURE 1

業界トップクラスの発電効率

廃棄物発電

最新鋭のストーカ炉システムである「ハイパーZシリー ズ」は、高温空気吹き込み技術や排ガス再循環技術など、 最高水準の開発技術を搭載した廃棄物発電システムで す。発電への要求の高まりを受け、廃棄物を安定的に処 理しながら業界トップクラスの発電効率を達成し、地域 の電力需要と資源循環に貢献しています。

パネルの状況をリモート監視

太陽光発電

太陽光発電は、固定価格買取制度がスタートし て以降、全国で導入が急加速しています。JFE では、全国に点在するメガソーラーの発電状況 などをリモートで監視できる「JFE-SCADA」 システムを自社開発しました。お客様からEPC (設計・調達・建設)を請負うとともに自らも

7地区で発電事業を進めています。

カーボンニュートラルなヤシガラを発電に

バイオマス燃料

パ ー ム 油 を 抽 出 し た 残 渣 で あ るPKS(Palm Kernel Shell 通称:ヤシガラ)はバイオマス燃料として期待され ています。化石燃料に代わるカーボンニュートラルなエ ネルギー源となるPKSをマレーシ

アから日本に安定供給し、再生可 能エネルギーの普及に貢献し ています。

多様なバイオマスを効率よく燃焼

バイオマス発電

植物など生物由来の資源を利用するバイオマス発 電は、CO₂を増加させず、資源の有効活用にもつ ながる発電方法です。JFE循環流動層ボイラは、 燃料と流動媒体を高速の燃焼空気によって混合、 流動化させながら燃焼を行い、発電するシステム です。発電に対する社会ニーズの高まりとともに 全国各地で受注を積み重ねています。木質ペレッ トやパームヤシ殻(PKS)などのバイオマス、使用 済みプラスチックや建設廃棄物など多種多様なも のを燃料として効率よく燃焼できます。経済性に 優れているだけではなく、国内林業再生など地域 社会にも大きく貢献しています。

■:建設・発電事業

●:建設

最高峰の発電効率で、再生可能エネルギーの利用を促進する

多様なエネルギー源を最大限に活用する技術で、 循環型社会の実現に貢献しています。

環境負荷低減技術・製品 ❷

ヤシガラのヤード(マレーシア)

ネルギー源となるPKSをマレーシ アから日本に安定供給し、再生可 能エネルギーの普及に貢献し

JFE グループ CSR 報告書 2014

(13)

低温の蒸気や熱水も無駄なく利用

地熱バイナリー発電

JFEは日本で最初の松川地熱発電所(岩手 県)をはじめ、現在全国にある地熱発電所の うち、約半数の9カ所で蒸気設備の納入実績 があります。

地熱バイナリー発電は、低沸点媒体を蒸発 させタービンを回して発電する方式で、従 来の地熱発電では利用されてこなかった低 温の蒸気や熱水を無駄なく利用できる高効 率なシステムです。現在、2カ所について、 蒸気設備を含むバイナリー発電設備を建設 中です。

鉄鋼スラグで海洋環境を再生

マリンストーンⓇ

マリンストーン は、製鋼スラグを海洋環境修復資材として適 切なサイズに粒度調整を行ったものです。閉鎖性海域では底質 が悪化しやすく、貧酸素状態では硫化水素が発生し、悪臭がした り魚介類に悪影響を与えます。マリンストーン は、この硫化水 素の発生を抑制し、底質の環境を再生する底質浄化材として活 用されています。

水を浄化して生態系を保全

バラスト水処理システム

JFEバラストエース

船舶は、積荷がない状態での船体のバランスを保つため、荷揚げ港で 海水(バラスト水)を取り込みます。このバラスト水には荷揚げ港に生 息する海洋生物が含まれているため、荷積み港周辺で排水される際に、 その生態系を乱すことになります。この問題を解決するために船内に 注水したバラスト水中の生物を除去・殺菌する水処理システムが「JFE バラストエース」です。近年、船舶に対しバラスト水処理装置の搭載を 求める「バラスト水管理条約」が発効する見通しです。こうした状況下、 シンプルかつ安全・確実、さらにコストパフォーマンスも世界トップ クラスのJFEバラストエースは、世界各国で高い評価を受けており、 2014年 5月時点で累計受注件数は477隻に達しています。

海洋環境の再生と生物多様性の保全に貢献する

海水を浄化する製品や製鉄プロセスの副生物を通じて、 海の生物多様性保全を支えています。

環境負荷低減技術・製品 ❸

マリンストーン®

海藻が着生したマリンストーン®

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JFEホールディングスは、2014年3月、東京証券 取引所と経済産業省が共同企画で実施している2013 年度「なでしこ銘柄」に選定されました。なでしこ銘 柄は、「女性のキャリア促進」と「仕事と家庭の両立サ ポート」の2つの視点に基づき、女性の活躍推進に優 れた企業を選定するものです。当社グループでは、ダ イバーシティの推進を異なるライフスタイルや家庭状 況など、多様な背景を持つ従業員の能力を最大限に引 き出すための戦略として重要な経営課題の一つと位置 付けています。そのため、女性の積極的な採用ととも に、より働きやすい職場環境を実現するためさまざま な施策を実施しています。

多様な人材で組織力を強化

ダイバーシティの推進

グローバルマーケットで存在感を高めていくためには、多様な人材の活用が不可欠です。 JFEグループは、多様な個性や能力を持つ従業員が、

その力を存分に発揮できる機会と環境の整備に取り組んでいます。

JFEホールディングス なでしこ銘柄2014に選定

FEATURE 2

JFE グループ CSR 報告書 2014

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小学6年修了まで。短時間勤務制度

▶JFEスチール 

JFEスチールでは、女性や子育て世代が働きやすい 会社を目指し、仕事・子育て両立支援制度を年々拡充 しています。育児休業や育児短時間勤務制度は、法定 で定める期間よりも長く活用できる制度を整えていま す。2014年度からは、認可外保育園や病児保育園を 利用した際に費用の一部を補助する制度や、出産・育 児・介護・配偶者の転勤により退職した従業員の復帰 を支援する再雇用制度(キャリア・サポート制度)を 新たに導入しました。

安心して仕事に集中。企業内保育施設

▶JFEエンジニアリング

JFEエンジニアリングは2012年9月に、横浜本社 に通勤する従業員が利用するJR鶴見駅に隣接したビ ルに企業内保育施設「JFEこどもの森」を開設しまし た。2014年4月現在、常時保育と一時保育を合わせ 約30名の児童を受け入れています。

育児休業中もつながる。Jママミーティング

▶JFE商事

JFE商事では、育児休業中の女性従業員に対して、 年3回「Jママミーティング」を開催しています。ミー ティングでは、会社の状況や制度の再確認、職場復帰 した従業員の経験談、復職後の会社生活を想定した ケーススタディ、所属長との個別面談などを実施して おり、復職後も安心して仕事と家庭を両立し、能力を 発揮できるようサポートしています。

出産・育児を経ても

長期的なキャリア形成を図るために

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FEATURE 2

JFEスチールでは、60歳定年を迎えた従業員を 引き続き65歳まで再雇用する「シニア・エキス パート制度」を整備しています。当制度を運用すること で、少子高齢化の社会環境における高年齢者の就業意欲 に応えつつ、JFEスチールとして団塊世代が退職を迎え る中、ベテラン技能を安定的に保持することを行ってい ます。

JFEエンジニアリング、JFE商事においても、同様の 制度を運用しています。

JFEエンジニアリングでは、海外事業の拡大を進 めており、グローバル人材の育成が急務となって います。その一環として、新人を含む入社5年以内の超 若手従業員を現地法人やサイトへ積極的に派遣していま す。2014年4月現在、約30名が海外で活躍しています。

JFE商事では、海外現地法人等の担当者を対象と した貿易業務全般に関する日本での研修を、各営 業ラインで行っています。2014年には海外全拠点の幹 部候補社員が東京本社に集まってマネジメント研修を行 い、グローバルな人材育成および交流を推進しています。

ダイバーシティ推進に向けた取り組み

他にもある!

JFEグループでは、女性の積極的な採用に取り組 んでいます。2013年度のJFEホールディングスお よび事業会社における総合職の女性入社比率は、約 20%(62名/301名)であり、特に事務系総合職 社員においては約42%(47名/112名)となって います。

総合職

2014年4月現在、JFEホールディングスおよび 事業会社における総合職は、6,683名(うち管理職 4,579名)で、そのうち女性は573名(うち管理職 78名、1.7%)です。また、2014年度入社者の総合 職に占める女性は345名中42名(事務系総合職で は126名中24名)です。

北京からの研修者(中央)

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従来の海外留学に 加えて、インドで の語学研修や技術系従業 員の海外論文発表機会の 促進など、グローバル人

材育成に向けた取り組みを行っています。なかでも2014 年度から、早期に海外での業務経験を積むことなどを目的 として、事務系新入社員全員に対して海外派遣研修を実施 するといった新たな施策も展開しています。

国籍を問わず優秀な人材を確保 するために、外国人留学生や海 外の大学を卒業する学生を対象とした 採用活動を展開し、人材の多様化を 図っています。また、海外アライアン ス先のインドJSWスチール社との人 事交流などを通じて、社内のグローバ ル化も推進しています。

JFEエンジニアリングでは、社 会インフラ整備のニーズが高ま る東南アジア諸国において、中核技 術者の育成支援に取り組んでいます。 2013年には、ミャンマー、インドネ シアなどから21名のインターンシッ プ生を受け入れ、4~8週間にわたっ て現場実習を行いました。

JFE商事は成長戦略の一つとして、海外展開を積極 的に推進しており、グローバルな視野を持ち、国内 外で活躍できる人材の育成を強化しています。海外駐在に 限らず、短期研修、語学

研修などのさまざまな赴 任形態を有し、多くの従 業員がキャリアの早い段 階から海外経験を積んで います。

JFEエンジニアリング鶴見製作所にある重工工場で は、ベテランの持つ高度な技能を若手に伝えていく ため、2013年3月に溶接技能修練道場「Win&WeDGE」 を開所し、JFEのもの

づくりを支えるプロ フェッショナルな人材 を育成しています。

製鉄所現業職

製鉄所の現場は男性社会というイメージは変わりつつあ ります。2012年度より現業職新卒採用の10%を目標に女 性の採用を積極的に推進し、約100名の女性従業員が製鉄 所の現場で活躍しています。また、シャワー・トイレなど のインフラの整備やセクシャル・ハラスメントに関する研 修の実施などにも取り組んでおり、女性従業員にとって働 きやすい環境の整備に努めています。

JFEスチールでは今後10年間で約40%の従業員の 入れ替わりが発生することから、若手従業員への技 能継承が大きな課題です。そのため、2013年度より「テ クニカルエキスパート制度」を導入し、OBやベテラン従業 員を中心とした教育専任講師を約100名配置しています。 テクニカルエキスパートはプロセスごとに配置し、若手従 業員への個別指導などの職場ごとのニーズに合わせた技能 継承活動を通し、JFEスチールの現場力の維持・強化に向 けて活動しています。

シドニー駐在員(右から2人目)

インドJSWスチール社から派遣された従業員

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コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスに関する

基本的な考え方

JFEグループは、持株会社の傘下に事業を展開する 3つの事業会社(JFEスチール、JFEエンジニアリン グ、JFE商事)を置く経営体制をとっています。

持株会社であるJFEホールディングスは、グループ の一元的なガバナンスの中心にあって、全グループの 戦略機能を担うとともに、リスク管理と対外説明責任 を果たすなど、スリムなグループ本社としての業務を 遂行しています。

また、事業会社は、事業分野ごとの特性に応じた最 適な業務執行体制を構築して事業を推進し、競争力の 強化と収益力の拡大を図っています。

このように、持株会社と事業会社がそれぞれ責務を 果たすことで、株主をはじめすべてのステークホル ダーにとっての企業価値最大化に努めています。

経営体制

● ガバナンス体制

JFEホールディングスおよび事業会社は監査役設置 会社であり、取締役会による業務執行の監督、監査役 による監査という二重のチェック機能を有していま す。さらに、経営の意思決定と業務執行の分離による 権限・責任の明確化、および執行の迅速化を図るた め、執行役員制を採用しています。

JFEホールディングスにおいては、社外取締役2名 (いずれも独立役員)を含む取締役5名から構成される 取締役会が、経営効率の維持・向上に努めつつ、法定 事項の決議、重要な経営方針・戦略の策定、業務執行 に対する監督を行っています。社外監査役2名(いず れも独立役員)を含む監査役4名で構成される監査役 会が経営を監視し、その健全性強化に努めています。

※1 JFEホールディングス 監査役が各事業会社 非常勤監査役を兼務。 ※2 事業会社の経営体制

は、JFEスチールを例 としています。

は指示、情報の伝達を表す。 ■は執行体制を表す。

※1

■ コーポレート・ガバナンス体制

◉事業会社※2

取締役会 監査役 会計監査人

経営会議 CEO(社長)

監査部 執行役員

◉グループ会社 ◉JFEホールディングス

株主総会

取締役会 取締役5名 うち社外取締役2名

グループIT会議 開示検討委員会

監査室 執行役員

会計監査人 監査役・監査役会

監査役4名 うち社外監査役2名

経営会議 CEO(社長)

グループ技術開発会議

グループCSR会議 議長:社長 グループコンプライアンス委員会

グループ環境委員会 グループ内部統制委員会

社長をリーダーとする CSR・コンプライアンス体制

JFE グループ CSR 報告書 2014

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マネジメント

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3

経営の公正性・客観性・透明性を高めることによ

り、企業価値および株主共同の利益を持続的に向上さ せることを目的として、これまでガバナンス体制の強 化に取り組んできました。2007年6月から社外取締 役2名を招聘するとともに、最適な経営を機動的に構 築しつつ、経営に対する責任を明確化するため、取締 役の任期を2年から1年に短縮しました。

● 重要事項の決定

グループを構成する各社の重要事項については、各 社の規程により明確な決定手続きを定めており、グ ループとしての経営に関わる重要事項については、 JFEホールディングスにおいて最終的な審議・決定を 行います。具体的には、各事業会社では、自社および 傘下グループ会社の重要事項について、またJFEホー ルディングスでは、自社・事業会社およびグループ会 社の重要事項について、それぞれ経営会議などで審 議、取締役会で決定しています。

● 最適な事業運営体制

JFEグループは、品種・事業ごとの戦略策定と収益 管理の一元化による最適な品種・事業運営を狙いとし て、各社ごとに最適な体制を採用しています。

● グループ横断の会議体

グループ共通の技術開発、ITの課題、CSRに関する 取り組みについては、グループ横断の会議体を設けて 審議しています。

社名 議長 出席者

JFEホールディングス 社長 執行役員、JFEスチール社長、JFEエンジニアリング社長、

JFE商事社長、監査役

JFEスチール JFEエンジニアリング

JFE商事 社長

取締役、主要な執行役員、 監査役

役名 氏名 主な職業

社外取締役 芦田昭充 (株)商船三井 相談役

社外取締役 前田正史 東京大学 理事・副学長

社外監査役 伊丹敬之 東京理科大学 イノベーション研究科 研究科長

社外監査役 大八木成男 帝人(株) 取締役会長

社名 事業運営体制

JFEスチール 品種セクター制

JFEエンジニアリング 事業本部制

JFE商事 営業本部制

■ 経営会議の体制

■ JFEホールディングス社外取締役および社外監査役(2014年7月1日現在)

■ 各社の事業運営体制

グループ会議 ◦グループ技術開発会議

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内部統制体制

リスク管理体制を含むJFEグループの内部統制体制 は、「内部統制体制構築の基本方針」にしたがって、 取締役会規則、経営会議規程、JFEグループCSR会議 規程などの各種会議規程、組織・業務規程、情報保存 管理規程および企業対象暴力対応規程の制定や、企業 倫理ホットラインの設置などによって整備していま す。持続的な企業価値向上のため、内部統制体制の整 備・運用状況について定期的に確認し、改善に努めて います。

● 内部統制体制の強化

内部監査

内部監査については、JFEホールディングスおよび 主要な事業会社ならびに重要なグループ会社に内部監 査組織(2014年4月1日時点でJFEホールディング ス、主要な事業会社、グループ会社に計172名)を設 置し、各社の業務運営に対する監査を実施していま す。また、各内部監査組織は、情報を共有することで、 グループ全体の内部監査体制の充実を図っています。

さらに、主要な事業会社の監査担当者がJFEホール ディングスの監査担当者を兼務することで、グループ 全体としての連携を強化しています。

監査役監査

監査役は、取締役会および経営会議、その他の重要 会議に出席するほか、取締役および執行役員などから 業務報告を聴取し、子会社から事業の報告を受けるな どにより、取締役の職務の執行を監査しています。法 定の監査に加え、さらに以下のような活動により、監 査役監査の充実、監査役間の連携強化を図っています。

◦常勤監査役をホールディングス以下グループの 32社に41名配置しています。加えて、事業会社 から、監査役業務を専任的に行う非常勤の社外監 査役として「派遣監査役」をグループ会社に派遣 しています。各派遣監査役はグループ会社3~4 社の非常勤監査役に就任し、派遣先で監査役監査

監査役と会計監査人の連携

監査役は会計監査人(新日本有限責任監査法人)と 定例的および必要時に会合を持ち(2013年度は7 回)、監査計画、監査の実施状況や監査結果の詳細な報 告を聴取するとともに、会計監査人の品質管理体制に ついても詳細な説明を受け、その妥当性を確認してい ます。また、監査役も会計監査人に対し監査計画など の説明を行うとともに、意見交換を行っています。

監査役と内部監査部門の連携

監査役は内部監査部門と定例的および必要時に会合 を持ち(2013年度は4回)、内部監査計画、内部監査 の実施状況や監査結果の詳細な報告を聴取するととも に、意見交換を行っています。

事業会社のガバナンス

各事業会社の株主総会や経営計画説明会において は、JFEホールディングスの経営陣が出席し、各事業 会社の事業報告を受けるとともに、子会社の経営方針 について議論するなど、持株会社が株主としての監視 を行い、ガバナンスの強化を図っています。

の実を上げるとともに、グループガバナンスの充 実に寄与しています(6名が24社を担当)。 ◦グループ各社の常勤監査役、派遣監査役で構成す

る「JFEグループ監査役会議」を設置し、その下 で部会・分科会ごとにテーマを設けて1年間自律 的に情報交換・研究・研鑽活動を行います。その 成果は「JFEグループ監査役会議総会」で発表さ れ、各監査役の監査活動に活かされています。

内部統制体制構築の基本方針 ➡

http://www.jfe-holdings.co.jp/company/h-gaiyo/index.html#naibu Web

新任監査役 研修会 その他研修会 JFEグループ

監査役会議総会 (HD主催、53社47名)

JFE商事 および グループ会社 JFEスチール

および グループ会社

部会・分科会(テーマ別)

JFEエンジニアリング および グループ会社

■ JFEグループ監査役会議

派遣監査役制度 (専任6名で24社)

JFE グループ CSR 報告書 2014

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マネジメント

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3

JFEグループは、社会を構成する一員としての企業

の責任を自覚し、より良い社会の構築に向けて企業の 社会的責任(CSR)を果たしていくことを経営の根幹に 据え、取り組みを強化しています。その一環として、 2005年10月、JFEホールディングスに「JFEグルー プCSR会議」(議長:社長、約3カ月に1回開催)を設置 し、コンプライアンス、環境、人事労働、安全・防災、 社会貢献、反社会的勢力への対応など多岐にわたる 範囲を対象として、JFEグループのCSRへの取り組み を監督・指導しています。また、グループを横断する 「グループコンプライアンス委員会」や「グループ環境 委員会」「グループ内部統制委員会」などを設置してそ

れぞれの取り組みを討議するとともに「JFEグループ CSR会議」でこれらの内容を報告・共有しています。

● CSR監査

JFEグループは、CSRに関する重点項目が適切に実 行されていることを確認するために、内部監査部門に よる業務監査に環境管理、独占禁止法遵守、経費管理、 海外事務所管理、税法遵守、安全、防災などCSRに関 するテーマを盛り込み、各テーマについて計画的に監 査しています。

監査で問題点や指摘などがあれば、JFEホールディ ングスと事業会社の監査部門が連携することで、グ ループ内でその情報を共有し、グループ各社のCSR活 動に反映させています。

グループCSR体制

■ CSR推進体制図

JFEグループCSR会議

グループコンプライアンス委員会

グループ環境委員会

グループ内部統制委員会

議長: JFEホールディングス社長

メンバー: 副社長、執行役員、常勤監査役、 事業会社社長 その他

テーマ

コンプライアンス、環境、内部統制、人事労働、安全・ 防災、社会貢献など

❶ グループとしての方針審議 (重要案件に対する指示・指導含む) ❷ 方針の浸透状況の監督

❸ 課題や発生した問題への対処事例などの情報共有、 水平展開

JFE商事CSR会議

CSR推進会議(議長:社長)

環境管理部会 コンプライアンス部会 内部統制部会 安全衛生部会

情報管理部会 品質保証部会 防災部会 社会貢献部会

JFEスチールCSR会議

CSR会議(議長:社長)

JFEエンジニアリングCSR会議

コンプライアンス委員会 安全衛生委員会 環境専門委員会 防災委員会

CSR会議(議長:社長)

地球環境委員会 内部監査部会 CSR意識浸透部会 人事労働部会

安全・防災部会 CS(顧客満足)部会 社会貢献部会 コンプライアンス委員会

リスクマネジメント委員会 ルールの整備・周知部会

 

(22)

基本的な考え方

「コンプライアンス(法令遵守)」はJFEグループの 基盤をなすものです。組織を構成する全員がコンプラ イアンスの知識や認識を深め、日々実践することで、 法と倫理に則った誠実で健全な事業活動を行っていき ます。そのために、コンプライアンスの一層の徹底と 定着を図る体制強化と諸施策を実施しています。

● 研修の実施

JFEグループ各社では、独占禁止法、インサイダー 取引防止、安全保障貿易管理、建設業法、外国公務員 贈賄防止などのテーマ別にコンプライアンス研修を実 施しています。また、管理者研修や新人研修でもコ ンプライアンスに関する教育も行っています。JFEス チール、JFE商事では上記に加え、eラーニングによる 研修にも力を入れています。

● ルール周知活動の実施

JFEスチールは、毎年10月を「法令遵守強化月間」 と定め、「ルール周知活動」を実施しています。この 活動では、コンプライアンスガイドブックやイントラ ネットに法務部が掲載している資料、法令、社内規程 などの読み合わせを国内外の部署ごとに行い、法令や ルールを遵守する意識を醸成するとともに、実際の業 務がルールに適合しているかどうかを確認しています。 強化月間の活動を活かして、業務の見直しや、適切な手 続きを経たルール改正も実施しています。

JFE商事においても、年間を通じて規程などルー ルの読合せ(3件/四半期)や、ガイドブック読合せ・ ディスカッションなどを行うコンプライアンス強化月 間(年1回)を実施し、理解と浸透を図っています。

コンプライアンス体制

企業理念・行動規範に基づいた企業活動を実践する ための指針として、「JFEグループ企業行動指針」を 制定し、企業倫理の徹底について、JFEグループ役員・ 従業員に対する周知を図っています。

またコンプライアンスに関わるグループの基本方針 や重要事項の審議、実践状況の監督を目的として、社 長を委員長とする「JFEグループコンプライアンス委 員会」を設置し、3カ月に1回程度開催しています。 各事業会社でも同様の会議体を設置し、コンプライア ンスに沿った事業活動を推進・監督する体制を整備し ています。さらに、各事業会社でコンプライアンスに 関わる重要情報が現場から経営トップに直接伝わる制 度「企業倫理ホットライン」を導入しています。

コンプライアンスの徹底

● ガイドブックの活用

JFEグループは、コンプライアンスの意識強化の取 り組みの一環として、「コンプライアンスガイドブック」 を作成し、役員・従業員に配布しています。また、グ ローバルな事業展開に対応し、海外事務所などの現地 スタッフ向けにガイドブックの英語版を作成し、適宜 その拡充を図っています。

このガイドブックは、法令や社内ルールを守り、社 会常識に則って行動するための具体的な基準を、100 以上のケーススタディ形式で平易に解説したもので す。日々の業務の中で疑問を感じたり、判断に迷った

りしがちな状況や事例をまとめ、各担当部署による 解説を付記しており、それらの内容は弁護士による チェックを受けています。

JFE商事では、商社独自の25ケースを解説した商社版 コンプライアンスガイドブックを作成して活用しています。

社名 集合研修 eラーニング 実施回数 受講者数※実施社数 受講者数

JFEスチール

単体 72 3,167 1 15,102

グループ 451 12,942 21 11,204

合計 523 16,109 22 26,306

JFE

エンジニアリング

単体 97 1,665 ─ ─

グループ 28 1,461 ─ ─

合計 125 3,126 ─ ─

JFE商事

単体 65 649 1 840

グループ 102 1,347 7 318

合計 167 1,996 8 1,158

■ コンプライアンス研修実績

※ 延べ人数

コンプライアンス

JFE グループ CSR 報告書 2014

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マネジメント

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2

3

意識調査による確認と改善

JFEグループは、倫理意識の定量的把握、企業理念 などの周知徹底、リスクの洗い出しを目的として、全 従業員を対象とする「企業倫理等に関する意識調査」 を実施しています。

最近の調査から、「以前に比べコンプライアンス意 識や行動が変わってきた」と前向きに捉えている従業 員が多いことが分かりました。会社の方針や理念の 認知度も大幅に向上しており、コンプライアンスに関 する仕組みや活動が従業員に着実に浸透してきてい ます。

意識調査の結果は、組織の改善や従業員の教育・啓 発などの施策に活用しています。

独占禁止法に関する取り組み

JFEスチール、JFEエンジニアリングは、過去に独 占禁止法に違反したことを深く受け止め、徹底した再 発防止策を継続しています。また、両社の内部監査部 門は、他社との接触に関し、独禁法に抵触すると推認 される行為がないことを確認するなど、独禁法遵守の 取り組みが適切に運用されていることを監査していま す。監査は支社や支店を含む各事業所を対象に定期的 に実施しています。事業会社のみならず、グループ各 社でも、こうした独禁法違反防止策を実施しています。

反社会的勢力の排除

JFEグループは、「JFEグループ反社会的勢力への 対応方針」を定めて、JFEグループのコンプライアン ス体制の中で組織的・統一的な対応を進めていくこと で、健全な会社運営の確立を図っています。

「企業対象暴力対応規程」を制定し、初期対応マニュ アルを含む対応基準を明確化しています。

● 主な取り組み

JFEスチール、JFEエンジニアリングにおける主な 取り組みは以下の通りです。

◦経営トップによる決意表明

◦独禁法の知識習得と独禁法違反が会社や個人に与 える影響の大きさを理解させるための具体的事例 に基づいた独禁法研修

◦就業規則を改定し懲戒事由に独禁法違反を明示 ◦同業他社との接触に関するルールの厳格化 このほか、JFEスチールでは営業部門が加入する社 外団体の活動内容の確認、JFEエンジニアリングでは 受注決定プロセスの透明化などに取り組んでいます。 またJFE商事においても、独禁法の研修・eラーニ ング、独禁法遵守状況・加入団体実態調査、同業者と の接触状況記録化などの取り組みを行っています。

内部通報制度

JFEグループは、コンプライアンスに関わる重要情 報が現場から経営トップに迅速かつ正確に伝わるよ う「企業倫理ホットライン」を設置しています。ホッ トラインの運用にあたっては、通報者・相談者の保護 に関する規程・ルールを定め、積極的な情報提供を促 進しています。また通報者・相談者に対しては、事実 確認後、検討結果をフィードバックしています。この ホットラインは、グループ会社も利用できるよう公開 しており、JFEグループのコンプライアンス強化活動 の柱の一つとなっています。

会社 件数

JFEホールディングスおよび事業会社

(JFEスチール、JFEエンジニアリング、JFE商事) 42

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